往復小説#1-1:葉書

「秋もすっかり深まってきましたね」 隣の席に座る御老人がマフラーを巻きながら話しかけてきた。 そうですね、と牧野は相槌を打ちながら窓の外を見る。赤黄色に染まり上がったモミジが、闇夜に揺らめいていた。 「気がつけばもう11 … 続きを読む 往復小説#1-1:葉書